在宅ワークを選択する理由として「人と関わらないから」というものが挙げられることがあります。
わたしも以前、SEOライターがメインの仕事だったころは「必要最低限の関わりでいいから、すごく楽」「コミュニケーションが苦手な自分に合ってる」と思っていたことがありました。
しかし、現代の在宅ワークの種類や、業態、役割によっては人と関わることが避けられない、もしくは、人とガッツリ関わっていかなければいけない仕事もあります。
この記事では、これから在宅ワークにチャレンジしたいと思っている人に向けて、完全在宅でありながらも人と関わりながら仕事をするという現実について、ちょっと話してみたいと思います。
SEOライターはコミュニケーションがほぼ不要だった
わたしは10年以上、SEOライターをやっていました。SEOライターは、検索キーワードを渡されて、それに沿って本文を書くのが仕事です。
なので、基本的に納期とキーワードなどの通達があるくらいで、複雑なコミュニケーションをほぼ必要としないことが多かったです。
もちろん、なかには週1でミーティングしながら、ニーズ分析や構成作成についてレクチャを受けるような仕事もありました。でもそれはかなり有名な会社で、高単価の仕事。1本の記事を書くのに誰かとオンラインミーティングをするような仕事は、後にも先にもその一社だけでした。
ちょっとした相談、連絡でチャットのやりとりをすることはあっても、それほど頭を使わず、聞かれたことに答えていればよい、というようなやりとりしかずっと経験してきませんでした。
個人的には、SEOライターのような決まったルールの中で作業するような仕事の場合は、人とのコミュニケーションは最小限で済むと思います。現に、わたしが今管理しているプロダクションでも、ライターさんとはそれほど密に連絡を取り合ったり、相談やディスカッションをする機会はあまりありません。
ディレクターにはコミュニケーションスキルが必要
ライターとして一定のスキルを蓄積できたら、ディレクターにステップアップする人が多いです。
わたしはディレクターにコミュニケーションスキルが求められることをわかっていたので、ずっと避けて通ってきたのです。でも、ひょんなことからプロダクションの中でディレクター人員が足りなくなり、抜擢していただきました。
そもそもディレクターとは、指揮者や管理者という意味を持ちます。記事企画を立てたらそれをクライアントに提示して「なぜこの企画を実行するか」というプレゼン力も必要ですし、そこで先方から出た意見やアイデア、指摘などを考慮しつつ自分の意向とすり合わせをしていきます。
また、記事の発注の際には、ときにライターさんや各チェック担当の方に、交渉するスキルも必要です。タイトスケジュールでの制作、イレギュラーな案件、通常とは異なる制作スタイル……そういう、マニュアルにない案件を進行する場合、各所に根回ししてお伺いを立てたり、無理をお願いしなければならないこともあります。
そういう手配りの力が、ディレクターには必要なのですね。
わたしはずっと、コミュニケーションが苦手だと思って避けていましたが、実際にやってみると、大変は大変ですがそれなりに楽しさも感じます。
「この人なら受けてくれるかも」「ここはこういう風にお願いすべきだ」「さすがこの人は頼りになる! 」
そんな風に、人を相手にしているからこそエキサイティングな感情が生まれることもあります。
コミュニケーションの未熟さを感じる
一方で、自分のコミュニケーション能力の未熟さを感じることもあります。
もともと、人と関わらないことに居心地の良さを感じていたのですから、それは無理もありません。
しかし、キャリアアップする過程でやっぱり避けては通れないのが「コミュニケーション能力」なのだと痛感するのです。
たとえば、いくら連絡しても返事をくれないクライアント、ライターさんへの指摘やフィードバックのしかたなどは非常に神経を使います。厳しいことを言うべきなのか、それとも当たり障りのない接し方でよいものか。
対面であれば、その人の空気管や表情といったものから受け取れる情報もあります。でも、在宅ワークの場合はほとんどがテキストコミュニケーションなので、本当にその文字や言葉からしか、相手の意図を読み取ることができません。
だからこそ、高度な感情のやりとりはできなくて当然なのでしょうけれど、やっぱり難しいし、課題感を強く感じるのですね。
ただ、通常のディレクター業務であればそこまで高度なコミュニケーションはないと思いますが、やはり上流工程にいけばいくほど、求められることが難しくなるのは当然なのでしょうね。
アイデアや意見を積極的に出せる人は仕事も増えます
完全在宅といえども、やはりコミュニケーション能力が高いと、仕事獲得にはかなり有利です。
というのも、わたしがいまマネジメントをしているチームのなかでも「アイデア」や「意見」を積極的に出せる人には、仕事をどんどん振りたいと思うからです。
ときどき「やる気はあります!」という人がいるのですが、そうは言っても具体的に何かアイデアがなかったり、自分に何ができるのかを何も言ってくれない方がいるんですよね。
仕事を振る側からすると、具体的な案・アイデア・意見を言わないのに「仕事できます!」といわれても、何をお任せすればよいのかわからないので、実際に仕事をお願いできなかったりします。
それよりも「〇〇について、滞っているのが気になるのですが、こちらで〇〇を△△に移してやってみてもよろしいでしょうか?」みたいな感じで、めちゃくちゃ具体的に提案してくれると「ぜひお願いします」という流れに自然となります。
で、さらに「あの人は○○を△△に移してテストすることができるんだ、ならばこの仕事もあの人に頼んでみようかな」とか「あの人に相談すれば、改善のアイデアが出るかも」というように、第一想起になっていくことが多いです。
これが「頼れる人」「仕事を頼みたくなる人」なんですよね。
フリーランスでは、提案力や交渉力が重要といわれますが、それはまさにそう。
でも「できます!」「やる気あります!」だけでは、ちょっと何をお願いすればいいかわからないので、自分が自信をもって「こうしたほうがいいのでは?」と思うことがあれば積極的に提案する勇気をもってほしいと思います。
在宅ワークやフリーランスは、人と関わるための工夫が欠かせない
やはり、在宅ワークやフリーランスで成功するためには、ある程度コミュ二ケーションついて工夫したり、勇気を出して提案や意見をしていくことが欠かせないのだろうと思います。
わたしも以前は「人と関わらなくていい仕事最高」と思っていたことがありました。でも、それではどうしても自分自身のキャリアが変化していきません。
いちライターであれば十分という気持ちも十二分にわかるのですが、やはり「先の長いキャリア」を考えていくときに、伸びていくのは人との関わりを恐れない人かもしれません。
もしくは、必要に応じて自分のコンフォートゾーンを出ていくことができる、そんな人なのかもしれないと、今そう思っております。
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